運河の街であり、いつ訪れても魅力的なヴェネツィアは、歴史的建造物や芸術作品の宝庫です。そのひとつが、ドルソドゥーロ地区の中心にある、親しみやすいながらもあまり知られていない教会、サン・バルナバ教会です。

サン・ジョルジョ・マッジョーレ教会やサン・マルコ寺院のような知名度はないかもしれませんが、サン・バルナバ教会には、歴史、建築、文化的な魅力が融合しています。

この記事では、古代にまで遡る歴史から、大ヒット映画『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』に登場するまで、サン・バルナバ教会がヴェネツィア観光に欠かせない理由をすべてご紹介します。

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歴史的背景

起源と初期の歴史

サン・バルナバ教会は西暦809年に創設されたため、ヴェネツィアで最も古い礼拝所のひとつとなっています。 当初は聖バルナバを称える普通の建物として建てられ、ドルソドゥーロ地区の人々の祈りと安らぎの中心地として設立されました。

その質素な起源は、ヴェネツィア共和国の台頭期における質素な教区信徒の必要性を証明しており、礼拝所と安らぎの場を提供していました。

何世紀にもわたって、教会はヴェネツィアの建築様式や文化環境の変化に合わせて、何度も改築されました。最も劇的な変貌を遂げたのは18世紀で、ヴェネツィア人建築家ロレンツォ・ボスケッティの設計により、現在のネオクラシック様式に再建されました。

この再建により、ゴシック様式から離れ、代わりにネオクラシック様式特有の端正なラインとバランスの取れた外観が採用されました。

地域社会における役割

初期の時代から、サン・バルナバ教会はドルソドゥーロ地区の住民に宗教上のアドバイスや市民サービス、アイデンティティを提供してきた中心的な教区教会でした。

ヴェネツィアで最も活気のある広場のひとつであるカンポ・サン・バルナバに近かったことから、地元の人々の人気の集会所となりました。この教会は礼拝の場であり、社会や文化の中心地であり、社会的なつながりを強めるための儀式やイベントが開催される場所でした。

19世紀後半に聖別が解かれた後も、この教会が精神面と社会面の拠り所として果たしてきた歴史的な役割は、この地域のアイデンティティに深く根付いています。今日でも、その存在は、その歴史的な過去に対する郷愁と敬意の念を呼び起こし続けています。

人気メディアとのつながり

サン・バルナバ教会は、名作映画『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』に登場したことで世界的に有名になりました。この教会は映画の中で「図書館」として登場し、インディ・ジョーンズがカタコンベへの秘密の扉を発見する場所でした。

それ以来、この映画の描写に魅了された多くのファンや映画愛好家たちが、手に汗握るシーンを追体験しようとこの場所を訪れています。この映画で教会が使用されたことにより、その長い歴史に現代的な楽しみが加わり、歴史的な重要性と現在の文化的価値の間の隔たりが埋められました。

建築上の見どころ

外観

1776年に完成したネオクラシック様式のファサードは、サン・バルナバ教会の最も特徴的な要素のひとつです。ロレンツォ・ボスケッティによるファサードは、シンメトリー、バランス、抑制の効いた美しさに重点を置くことで、新古典主義建築の真髄を表現しています。

洗練されたラインはコリント式の円柱によって緩和され、その円柱はミニマルな装飾が施された三角形のペディメントを支えています。ファサードの均整のとれた美しさは、機能性と審美性を融合させるという18世紀のヴェネツィア建築の考え方を反映しています。

活気あふれるカンポ・サン・バルナバに面した外観は、控えめながらも印象的です。静寂でありながらも堂々とした存在感は、広場の活気を引き立たせています。

インテリアデザイン

教会の内部は、シンプルでありながらも温かみのある空間で、瞑想や思索を促します。ヴェネツィアの教区教会の特徴である身廊が1つある設計により、内部には親密な雰囲気が生まれています。

この建物は、教会に内包された歴史の層を反映しており、中世の起源と18世紀に再建された際に導入された建築上の革新が融合されています。

ヴェネツィアの壮麗なバシリカの壮麗さやバロック様式の装飾を欠くこの教会は、その質素さゆえに一層魅力的です。この教会の歴史的、宗教的な重要性は、訪れる人々がすぐに気づく点です。柔らかな光と控えめな調度品が、この教会の静けさをさらに際立たせています。

鐘楼

教会の隣には、9世紀に起源を持つこの教会とヴェネツィアの歴史を物語る古い鐘楼が建っています。 風雨に晒されたレンガ造りの建物は、年月を経て緑青が生じ、ヴェネツィアで現存する最古の鐘楼のひとつとなっています。 鐘楼の正確に傾いた位置と荒々しい外観が、この建築群に独特の個性を与えています。

伝統的に、鐘楼は人々への重要な礼拝の呼びかけや、社会における重要な出来事の通知として使用されてきました。

今日では、何世紀も前の静かな守護者として、ヴェネツィアの初期の歴史を体感できる場所として観光客に親しまれています。この鐘楼の長い歴史は、教会のネオクラシック様式の美しさに素晴らしい彩りを添え、現代と古代の建築要素を調和させています。

芸術的・文化的重要性

宗教芸術作品

サン・バルナバ教会は、その役割を終える前は、ヴェネツィアの職人の芸術的技術を示す、複雑な細工が施された祭壇画、彫刻、フレスコ画など、重要な宗教的芸術作品のコレクションを所蔵していました。

こうした作品は、単なる宗教的信仰心からではなく、宗教と聖書、聖人たちを結びつける絵画的な証言として制作されたものでした。多くのオリジナルの絵画は、ヴェネツィアのより大きなコレクションに保存するために移されています。しかし、その芸術作品の痕跡は、今でもその輝かしい歴史を垣間見せてくれます。

教会内部のミニマルな装飾は、サン・マルコ寺院のようなヴェネツィアの有名なバシリカの豪華さとは正反対であり、より落ち着いた思索的な環境を提供しています。

その控えめな装飾は、観光客がこの教会を圧倒的な壮麗さではなく、歴史的意義の宝庫として鑑賞する傾向があります。 残っている装飾は限られており、教会が運営されていた時代における、この教会の広範な宗教的意義を静かに彷彿とさせます。

現在の用途

現代的な施設として、サン・バルナバ教会は、ヴェネツィアの芸術、歴史、職人技を称えるダイナミックなショーや文化センターの会場として再利用されています。これらのショーは、この建物を文化教育と鑑賞の活発な拠点として活性化させ、歴史的な壁に新たな命を吹き込んでいます。

ヴェネツィアの海洋史から地元の工芸品の進化まで、幅広いテーマのプログラムは、適応型のストーリーテリングや探求のプラットフォームとなっています。

この適応的な再利用は、ヴェニスという街の文化遺産の感覚を人々と結びつけるため、教会が今でも地元の人々や観光客にとって特別な場所である理由に大きく貢献しています。人々がこの空間を学びと創造性の場として体験することで、この遺産の保存に貢献し、歴史的・文化的に重要なこの場所を未来に残すことができるのです。

映画とポップカルチャーにおける役割

映画『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』に登場したことで、この教会は文化的な象徴としての地位を確固たるものにしました。映画の中で、サン・バルナバ教会はインディ・ジョーンズがカタコンベへの秘密の通路を見つける偽の図書館として使われました。

歴史への好奇心に満ちたサスペンスシーンは世界中で大ヒットし、この教会は映画ファンたちの巡礼地となりました。

この映画のワンシーンのスリルを再び味わおうと、旅行者がこの教会に押し寄せ、映画を通じて、この教会の時代を超えた魅力が大勢の人々に伝わったことに驚いています。この現代的なつながりが、教会の歴史的な過去に神秘性とノスタルジアの雰囲気を加え、ハリウッドの魅力とベニスの豊かな文化遺産をエレガントに融合させています。

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観光情報

場所とアクセス:キエーザ・ディ・サン・バルナバは、人口の多いドルソドゥーロ地区のカンポ・サン・バルナバの近くにあります。人気の広場は、カフェやブティック、市場などが立ち並び、地域の人々の生活で賑わっています。

ヴェネツィアの中心部に位置しているため、徒歩またはカ・レッツォーニコやアカデミアなどのヴァポレット停留所からアクセスできます。アカデミア橋やペギー・グッゲンハイム・コレクションなどの有名な観光スポットにも近いことから、ヴェネツィア観光では必ず訪れるべき場所となっています。

開館時間および入場料:この教会は礼拝の場ではありませんが、展覧会や文化イベント開催中は一般公開されています。これらのイベントの期間やテーマは通常、異なるため、事前にプログラムを確認することをお勧めします。

月曜日~日曜日:午前10時~午後7時

免責事項:開館時間は変更される場合がありますので、ご訪問前に公式ウェブサイトをご確認ください。

チケット情報

チケット料金

一般:9.00ユーロ

割引:6.00ユーロ(子供、65歳以上

学生グループ(15名以上):1人あたり5.00ユーロ

チケットの収益は、教会の歴史的・芸術的遺産の修復と維持管理に充てられます。

エリア情報:サン・バルナバ教会は、イタリア、ヴェネツィア、Dorsoduro 2771、Campo San Barnabaに位置しています。 教会は中心部に位置しているためアクセスが容易で、ヴェネツィア観光の旅程に組み込む価値のある場所です。

その他の情報: この教会は、映画『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』に登場することで最もよく知られています。この映画では、この教会が地下に秘密のカタコンベを隠した図書館として描かれています。現在、この教会はレオナルド・ダ・ヴィンチ博物館の会場となっており、この巨匠の発明品や作品のインタラクティブな展示が行われています。

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観光客へのアドバイス

ベストシーズン:早朝または夕方遅くの訪問が、より静かな体験ができるのでおすすめです。観光客のいない教会の雰囲気を味わうことができます。

ダウンタウン周辺:周辺の文化的な名所、カンポ・サンタ・マルゲリータ、ペギー・グッゲンハイム・コレクション、アカデミア美術館などを訪れて旅を締めくくりましょう。 これらをまとめて訪れることで、ドルソドゥーロ地区の文化と芸術の豊かさを堪能することができます。

礼儀正しい行動:教会はもはや聖なる空間ではありませんが、その歴史的・文化的地位は今も保たれています。 観光客は、その歴史と他の観光客のことを念頭に置き、静かに礼儀正しく行動することが求められます。

サン・バルナバ教会を訪れる理由

サン・バルナバ教会は、ヴェネツィアの複雑な歴史を垣間見ることができます。ロレンツォ・ボスケッティが設計した新古典主義様式の建物は、ヴェネツィア最古の鐘楼と調和した洗練された美しさです。

この教会は、この都市の中世初期への確かなつながりです。この歴史と建築美の融合が、有名な観光名所以外のヴェネツィアを見たいと願う観光客にとって魅力的な目的地となっています。

宗教的な聖域から現代的な文化センターへと変貌を遂げたこの教会は、その多様性と長期的な存続能力を証明しています。ヴェネツィアの海洋史に関する展示会を開催しようが、現代美術の展覧会を催そうが、サン・バルナバ教会は過去と現在を融合させた活気あふれる施設です。

映画ファンにとっては、ノスタルジーと興奮に満ちた光景であり、ハリウッドの歴史を少し味わってみたいと願う観光客を引き寄せる。この教会は活気あふれるドルソドゥーロ地区に位置しているため、歴史から芸術鑑賞まで、幅広いプログラムを堪能できる。

建築ファン、歴史愛好家、あるいは単にヴェネツィアの静かな一角を求めている人など、誰にとっても、サン・バルナバ教会は新旧、聖俗が混在する興味深い場所です。この穴場的な宝石は、訪れる人々にリラックスし、調査し、ヴェネツィア文化の豊かな織物に浸ることを勧めます。

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結論

サン・バルナバ教会は単なる教会ではなく、ヴェネツィアがその遺産を守りつつ変化し続ける能力の象徴です。 その古代の歴史や建築の素晴らしさから、文化の象徴としての現代的な機能まで、サン・バルナバは観光客にヴェネツィアのあまり知られていない側面を体験するよう促しています。

このあまり知られていない宝物を旅程に組み込むことで、この都市の歴史的・文化的景観の豊かさと多様性を解き放ち、より充実した体験ができるでしょう。

FAQs

ベネチアには約139の教会があり、そのほとんどがカトリック教会です。サン・マルコ寺院のような大きなバシリカから、あまり知られていないサン・バルナバ教会のような小さな教会まであります。

どの教会もヴェネツィアの歴史、芸術、建築のユニークな側面を反映しており、それらが一体となってこの街を文化と精神性の中心地にしています。中には聖別を解かれたり、用途が変更されたものもありますが、それらすべてがヴェネツィアの建築と歴史の織りなす一部であり、毎年何百万人もの観光客を惹きつけています。

インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』に登場する「図書館」は、実際には図書館ではなく、ヴェネチアのキエーザ・ディ・サン・バルナバです。

映画で使用された教会は、インディアナ・ジョーンズがカタコンベに通じる隠し通路を発見するヴェネツィアの図書館とされる場所です。 内部はセットで撮影されたとしても、外観の撮影は実際のChiesa di San Barnabaで行われました。

この映画のロマンスにより、この教会は映画ファン向けの観光名所となり、ヴェネツィアの歴史的な素晴らしさとハリウッドのファンタジーが融合しました。 教会はもはや宗教施設としては使用されていませんが、映画との関連性により、その文化的魅力が増しています。

世界最大のカトリック教会は、イタリアのローマにある独立した都市国家バチカン市国にあるサン・ピエトロ大聖堂です。この大聖堂はカトリック教会の精神的中心であり、イエスの使徒であり初代教皇である聖ペテロの墓所でもあります。

その壮大な建築で知られる大聖堂は、ミケランジェロやベルニーニなど、世界屈指の芸術家や建築家の手によって造られました。ヴェネチアには、キエーザ・ディ・サン・バルナバのような建築的に注目すべきカトリック教会がいくつかありますが、サン・ピエトロ大聖堂のような規模や世界的な知名度を持つものは他にありません。

ヴェネツィアには、カトリックの信仰に深く根ざした非常に豊かな宗教的過去があります。何世紀にもわたってカトリックがヴェネツィアの宗教を支配してきたのです。サン・マルコ寺院やサンタ・マリア・デッラ・サルーテ教会といった非常に有名な教会は、この事実の証です。文化と精神の根底にあるこの宗教は、ヴェネツィアの芸術や建築、伝統を形作ってきたのです。

サン・バルナバ教会(Chiesa di San Barnaba)をはじめとするヴェネツィアの古い教会のいくつかは、この宗教的な熱狂を今に伝えており、中にはサン・バルナバ教会のように、もはや聖別されておらず、文化活動に利用されているものもあります。ヴェネツィアは現在でもカトリックの慣習が生き続けている都市であり、救世主の祝祭のような宗教的な祭典には、住民だけでなく観光客も集まります。











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